ウシ(牛)
みなさんこんにちは
特殊水処理機『新ん泉』の櫻井です。
日本は水の輸入大国と言われています。
水には恵まれているというイメージが有るのになぜでしょうか?
それは食料の90%以上を輸入しているからなのです。
今回はその中でも水を大量に消費し私たち日本人にも馴染みの深い「牛(ウシ)」について考えてみましょう。
牛乳の歴史
人間が哺乳動物の乳を食物として利用するようになったのは、8000年ぐらい前からと言われています。
メソポタミア地方では、地球最古の農村跡(紀元前5000年代前半期)から、家畜化された牛の骨が発見されました。
そのことから人間と乳牛のかかわりはそれよりもさらに古い時代にさかのぼると考えられています。
ナイル河やチグリス河、ユーフラテス河の周辺に栄えた文明では、6000年ほど前にはすでにバターなどの乳製品を作り出していました。
その後、日本にも仏教を通じて牛酪(バター)や、酥(そ)と呼ばれる乳製品が伝わりましたが、それは一部の人が知るだけでした。
時は移り、江戸時代の中頃になって徳川8代将軍吉宗が、千葉県安房郡の山間、嶺岡地域にあった馬牧場に牛を放し酪農を始め、日本における牛乳文化が始まりました。
牛の食事
牛は、同じ哺乳類である人間が食べることのできない草を食べ、人間の食料となる牛乳や肉を提供してくれています。
実は牛自身も草を消化できない動物だと考えられているのはご存知でしょうか?
その本来食べられない草を食べるために存在するのが、4つの胃によって構築された「洗練された消化吸収システム」です。
牛に食べられた草は一度飲み込まれて胃に向かいます。
その草は時間が経つと口へ戻ってもう一度咀嚼(そしゃく)されます。
この反芻(はんすう)と呼ばれる行動を何度も繰り返し、時間をかけて硬い食物繊維を細かく砕き、唾液と混ざり合わせていきます。
ただし、この反芻の目的は草を吸収する事ではありません。
反芻胃と呼ばれる第1胃(ミノ)と第2胃(ハチノス)の中に共生しているさまざまな微生物(細菌群や原虫類)による分解・発酵を促進することが主目的です。
草の中にはそのままでは牛が利用できないタンパク質がたくさん含まれています。
そのタンパク質は第1胃にいる微生物によってペプチド・アミノ酸・アンモニアなどに一旦分解されます。
しかし、これらの栄養素すらも牛が直接利用しているわけではなく反芻胃の微生物に養分として利用してもらい成長・増殖を促すことが目的です。
第2胃は弛緩収縮運動によって反芻の原動力を司っている器官です。
第3胃(センマイ)は大きな繊維が残ったものを第2胃に戻し、しっかりと小さく分解されたものを次の工程に送る選別をしたり、水分を吸収したりしています。
そして第4胃(ギアラ)は人間の胃と同様に胃酸やタンパク質分解酵素を分泌して消化を行います。
ですがここで驚くべきことは反芻胃で成長・増殖した微生物を第4胃で消化してタンパク源として吸収していることです。
つまり牛(反芻する動物)は植物から得られる利用しにくいタンパク質を一度微生物に引き渡し、反芻システムで「微生物の体という利用しやすいタンパク質」を増殖させてから摂取しているのです。
これは微生物を食べるための消化吸収システムと言えるでしょう。
自然の草を食べた場合、これらの工程にかかる時間は約8時間程です。
4つの胃には他にも役割がありますが、特には第1胃のもつ発酵による「熱の生産」が挙げられます。
因みに反芻胃と呼ばれる器官(第1胃、第2胃)は人間でいう食道の一部が進化したものだと言われています。
4つの胃袋の総容量は200~300㍑あり、これは一般的なお風呂一杯の容量に匹敵します。
あまりにも一方的な言い様になりますが、栄養の生産効率が高く、かつ栄養の大量補給が可能である牛が食材として有用視されていったのは必然だったのかもしれませんね。