農薬の危険性?
みなさんこんにちは
特殊水処理機『新ん泉』の櫻井です。
昨今、外国と日本での農薬基準の差が話題になり、無農薬農業への関心がますます高まっています。
しかし、実は農薬と一言でまとめてみても、その種類は一言では収まり切らないほど存在していることはご存知でしょうか?
今回は農薬について考えてみましょう。
農薬とは
「農薬」とは、農作物 (家庭園芸で栽培されている植物も含む)を害する病原菌、センチュウ、ダニ、昆虫、ネズミなどの動物、雑草などを退治する薬剤など、農薬の作用を助ける補助剤、農作物の生理機能を増進または抑制する薬剤と定義されています。
つまり、植物を加害する病害虫を退治する目的で販売されるものはすべて農薬になります。
意外に思うかもしれませんが、化学合成物だけでなく、アブラムシやハダニなどを食べる天敵昆虫や医薬品として人間にも使用されているような薬剤、また食品としてなじみの深い水あめや、ヤシ油の成分なども植物の病害虫を退治する目的で販売する場合には、農薬として登録を取る必要があります。
例えば、無農薬農法と称し、害虫退治の方法として、牛乳を水で薄めて散布すると、牛乳のタンパク質の膜で窒息させることによりアブラムシなどが退治できると言われます。
たとえ牛乳であってもアブラムシなどの退治を目的として販売しようとするならば、「農薬」として登録を取ることが必要になります。
このように、「農薬」としての効果が期待出来るものであれば全て農薬として登録できてしまいます。
この様に農薬には様々な種類があるのです。
農薬の必要性
同じ植物でも山や野原の植物は病害虫の被害で全滅したという話はあまり聞きません。
なぜ、人の手で育てている植物は病害虫の被害をよく受けてしまうのでしょうか。
その理由は大きく分けると【食物連鎖】【植物の種類】【自衛本能】の3つが考えられています。
自然界では植物を食べる虫→その虫を食べる鳥や天敵→虫の死骸や鳥の糞を養分にして育つ植物、というサイクルが成り立っています。
きれいに整えられた庭では害虫が発生しても、鳥やクモなどの害虫を食べる天敵の数が少ないため被害が大きくなります。
そして、病害虫も好きな植物と嫌いな植物があり、自然界ではこれらの植物が共存し、万一病害虫が発生しても蔓延しにくい環境になっています。
その点、家庭の庭では特定の植物だけが多く植えられているため、一度病害虫が発生してしまうと蔓延し、被害が大きくなります。
植物も病害虫に加害されますと、自ら殺虫成分を作り出し、これ以上食べられないように自衛本能を働かせて被害を防ごうとします。
ところが、花をより大きく、より美しく、野菜や果物ではより美味しくなど品種改良された植物ではこのような植物本来の機能の多くが失われているため被害を受けやすくなります。
しかし、植物が自らつくり出した殺虫成分には苦味が出るなど味に変化を与えてしまうものや、発癌性物質として危険視されているものなど多種多様であり、人が食べるのに適した状態を保ってくれているとは限りません。
なので、農作物を育てるためには我々の手で農作物を守ってあげる必要性があります。
「農薬」によって安定した味と生産体制を保つことが出来るのも事実です。
農薬の危険性
農薬に頼りすぎると危険であるという認識は今や常識といっていいほどですが、これほどまでに危険視されている理由はどこにあるのでしょうか?
レイチェル・カーソンという学者が書いた『沈黙の春』(1962年出版)には農薬の潜在的危険性を啓蒙する内容が書かれています。
この本は社会に衝撃を呼び、当時人畜無害な農薬として知られていたDDTという化学合成物の残留性や、生態系への影響を公に広めるきっかけとなりました。
実はこの本の内容には、後の研究によって事実の誤認や、オーバーな表現が多々あったことがわかりました。
しかし、この本の存在により環境に配慮された、より安全性の高い農薬の研究が加速度的に進むきっかけにもなりました。
『沈黙の春』を口火に農薬に対する安全性の追求が爆発的に広まることになりました。
そして1971年には実際に母乳からDDTが検出され一時大きな話題になりました。
これは環境中における残留性の高い農薬は、生物体内でも分解されずに人の母乳から出てきたという紛れも無い事実として認識されました。
しかし、これは農薬が人体に悪影響を及ぼしたという報告ではありませんでした。
さらに現在もそのような報告は出てきていないということもまた事実であり、農薬の危険性を示すには至っていないというのが現状なようです。