美人の湯は美人を作る?!
みなさんこんにちは
特殊水処理機『新ん泉』の櫻井です。
昨今、温泉の人気が一段と高くなっています。
コロナ騒ぎも一服し、温泉でゆっくり、ストレスの解消も。
世界でも最も温泉好きといわれている日本人にとって温泉はレジャーや健康維持に欠かせないのです。
その効能はさまざまのようです。
中でも人気の高い美人の湯は本当に美人をつくるのでしょうか?
今回は温泉の効果について考えましょう。
日本三大美人の湯?
美人の湯を謳う温泉はたくさんありますが、代表的なところでは“日本三大美人の湯”と呼ばれる「和歌山県 龍神温泉」「群馬県 川中温泉」「島根県 湯の川温泉」の三ケ所が上げられます。
1920年(大正9年)に鉄道院が編纂した「温泉案内」によると、 「色を白くする温泉」としてこの三泉が挙げられているそうです。
既に大正時代には、美白というカテゴリーで括られていたわけですね。
そこで、美人の湯の効能を知るべく、この三ケ所の温泉について調べてみました。
和歌山県龍神温泉は”ナトリウム炭酸水素塩泉”、群馬県川中温泉は“硫黄泉”、島根県湯の川温泉は“ナトリウム・カルシウム・硫酸塩・塩化物泉”で、泉質がすべて一致していません。
龍神温泉では「主成分である重曹には、皮膚を軟らかくし、脂肪や分泌物を乳化させる作用があり、皮膚をすべすべと滑らかにしてくれる。
川中温泉では「硫黄泉には古くなった角質を軟化する作用や、洗浄殺菌作用があり、メラニン色素を排出する漂白作用がある。
湯の川温泉では「血液の循環が良くなることで新陳代謝が活発になり、肌が元気になり、保温効果が高く冷え性や婦人病にも有効。
女性の身体を健やかにしてくれるから。
とそれぞれ効用もさまざまです。
「美人の湯」についていろいろ調べてみましたが、はっきりとした基準があるわけではないようです。
もっとも「美人」の定義がはっきりしませんのでそれも仕方ないのかもしれませんね。
つるつる温泉の謎
「美人の湯」としてとくに女性に絶大な人気がある温泉の魅力は、入浴したときに感じる滑らかな肌触りにあり、ガイド本などを読むと、つるつる湯になる原因を説明する文章には、「高アルカリ性だから」というのと、「重曹分が多いから」というのと二通りの説明があることに気付きます。
どっちが本当でしょう?
つるつるの感触ができる原因はいろんな説明がされていますが、実はよく判っていないのが本当のところです。
温泉の効能とはあまり関係がないので、本格的にとりくんだ研究例もないようです。
しかし、その効果から類推するとアルカリ性の温泉では、皮脂とアルカリイオン(Na,K)が結合してセッケン状の物質をつくると考えられます。
「皮脂石鹸」ができていそうですが、つるつるの感触は、セッケンの界面活性作用(すべりやすくなること)で、ぬるぬるの感触のほうは、グリセリンが効いているのかもしれません。
また、脂肪とアルカリ性溶液は一般にあまり混じりあわないので、皮脂の溶け出しを助けるような働きを、重曹成分(NaHCO3)がしているようです。
重曹は脱脂作用がとても強いので、皮膚から脂肪をとりだし、アルカリ成分が石鹸に変えているという具合になっているものとみなしてよいかと思います。
つるつる温泉になるには3つの条件が揃う必要があるようです。
1) アルカリ性であること
2) 重曹成分を多く含むこと
3) ナトリウムイオンを多く含み、アルカリ土類イオンが少ないこと(=純重曹泉であること)
各地のつるつる温泉のナトリウムイオン(Na+)と炭酸イオン(CO32-)の関係をみると、意外にもpHの高い、高アルカリ性泉はつるつるの度合いは弱いほうになってしまいます。
逆に、pHが低く酸性度が高い温泉は、ツルツルをを通り越してニュルニュルした感触が強くなっていきます。
やはり上記三条件がバランスよく整っていることが大事なようです。
出雲の美人湯伝説
「火の山の ふもとの湯こそ 恋しけれ
身をこがしても 妻とならめや」
神代の昔、出雲からやってきた大国主命と恋に落ちた稲羽の国(鳥取県)の八上姫は、大国主命にスセリヒメというおきさきがあることを知らず、出雲の国に帰られた大国主命を慕ってはるばる旅に出られました。
かよわい足取りで厳しい旅を続けられ、出雲の入り海(宍道湖)を船で進まれた八上姫は、南の山の谷あいに湯気が立ち上っているのをご覧になりました。
湯の泉があるに違いないと近づいてみると、そこには岩の間からこんこんと湯が湧き出ているのです。
旅の疲れをその温泉でいやされた八上姫は心身共にお元気になられ、いっそう美しい美人神になられたと伝えられます。
冒頭の歌は、スセリヒメに追われ稲羽の国にお帰りになるとき、ふたたび湯の川温泉に立ち寄られた八上姫のお歌です。