みなさん こんにちは

特殊水処理機『新ん泉』の櫻井です。

冬にはかかせない雪についてです。

都会のスキーヤーやスノーボーダーは雪の便りを聞くと体がムズムズする人も多いのではないでしょうか。

一方雪国の人々は1日の仕事が雪除けから始まるという方も沢山います。

今回は意外と知られてない雪について考えてみましょう。

 

雪の母は氷!?

雪はどのようにできるのでしょうか?

上空の雲は水蒸気を含んでおり、上空の気温が低いとき(-15℃以下)に、大気中の微粒子を核(雲核)として氷の結晶(氷晶)が発生します。

氷晶は液体の水が凍ってできたものではなく、気体の水蒸気が昇華して直接固体になってできたものです。

雲の中でできはじめた頃の氷晶は非常に小さく(直径0.01mm以下)、この微細な氷晶の周囲の水滴が蒸発して氷晶の表面に昇華することで、氷晶が成長していき、雪になります。

雪の結晶は板状結晶など大きく7種類に分類されます。

温度や風などの条件によってさまざまな形になります。

成長した雪は直径0.5mm~10mm(1cm)くらいですが、大きな雪片では3cm前後にもなり、大きくなってくると浮遊する雲を支えている上昇気流を上回る重力が雪片に働くので、落下を始めます。

成長した雪が落下する間に、周囲の気温が0℃以上になることなく地上に到達すると雪として観測されます。

気温が0℃より高いと氷晶は融け始め、完全に融けると雨になり、融ける途中ならば天気としては雨と雪が交じった霙(みぞれ)となります。

霰(あられ)は氷晶に水滴が付いたものが、雲の中の上昇気流で冷たい上空に上げられ凍結したもので、球形の氷の粒で、結晶の形をとどめません。

低空での水の付着と上空での冷却が繰り返され霰の粒はしだいに大きくなります。霰のうち5mm以上に大きくなったものを雹(ひょう)といいます。

人工雪

世界で初めて人工の雪の作成に成功したのが中谷宇吉郎 博士です。

石川県の加賀市に生まれ東京帝国大学物理学科に進んだ中谷は物理学者・随筆家として有名な寺田寅彦の門下生となり、寺田に触発されて北海道大学で雪の研究を始めました。

十勝岳などで天然の雪の撮影、分類といった研究が進んで行くうちに中谷の研究は「人工雪」が作れないかと模索し始めました。

雪の複雑で多様なかたちがどのような気象条件で起こるのか、そのことを知るためには、実験室の人工的な環境で雪を作る必要があったのです。

中谷はガラス管のなかに水蒸気を発生させ、それを冷やして結晶させる装置を考え、試行錯誤の末に1936年3月12日「人工雪製作装置」のガラス管の中にセットした羅紗の糸(すぐ後にウサギの毛を使うようになった)に、扇形の六花の結晶が成長しました。

世界で最初の人工雪の誕生でした。

この低温研究室(-50℃の環境になる)の人工雪実験によって、湿度と気温の関係、つまり天空の気象条件によって、どのようなかたちの結晶が生まれるのかが明らかになってきました。

その関係を極めれば雪の形から空の気象状態が分かるようになり、様々な気象予測などに応用が出来ます。

そうした研究の中から中谷の有名な「雪は天からの手紙である」いう言葉も生まれたのです。

さまざまな形の結晶を実験室で作ることができれば、その測定値から、逆に、その形の雪が降ったときの上層の気象を類推できるはず。

だから結晶は、天の状態を知らせてくれる手紙なのだ、と。

雪の結晶としてよく知られている6本の枝の様な形をした樹枝状の結晶は、水蒸気量は多めで氷点下15℃の雲の中で成長したもの、となります。

雪 を利用した野菜育成

雪を資源として活かそうという取り組みは昔から行われており、直接にエネルギー資源として、また最近は保存や発酵の手段として利用されるようになってきました。

全国各地で様々な先人の知恵が活かされていますが、その一つとして山形の雪菜の栽培があげられます。

その起源をたどれば、雪国での生鮮野菜の確保のために奨励した上杉鷹山公の時代にまでさかのぼるといわれています。

雪菜は本来は「かぶのとう」と呼ばれ米沢市上長井地区特産の「遠山かぶ」の“とう(花茎)”を雪の中で成長させたものです。

栽培方法は夏の終わりに種を播き、10月まで通常の蕪と同じように育成します。

11月上旬 60~80センチメートルに生長し、食べられる大きさに成長したものをいったん収穫し、10株程に束ね、一箇所にまとめたあと、古新聞紙やわら、土などで囲い雪室を作ります。

雪が降り積もると雪室が完成、あとは雪の下で雪菜に”とう(花茎)”が立つのを待ちます。

収穫の際には傷つけないように丁寧に雪室の中から掘り出します。

雪菜は自らの葉を栄養源として”とう(花茎)”を立てるため、しんなりとして11月上旬から見ると1/3程度まで小さくなっています。

現在のものは、越後から伝えられた長岡菜との自然交雑から選抜育成したものと言われ、雪との関わりが深いその栽培法から「雪菜」という名称がつけられたものと考えられています。

その特徴はふすべる(湯通しする)ことによって出る独特の辛味で、葉わさびや辛子とは違い触感もシャキシャキした感じになり、漬物ほか郷土料理に利用されています。

新潟県の魚沼地方では 雪下にんじんが有ります。

冬の間、雪の下で約3カ月熟成させ、雪解けの頃掘り取って収穫します。

雪の下は温度が一定(0℃)なため凍ることはありません。

雪の下で越冬することによって、甘みやうま味を感じる成分であるアスパラギン酸、グリシン、セリンなどのアミノ酸の含有量が大きく増加します。

また、雪にさらすことでにんじん特有の臭みが薄れ、生でもおいしく食べることが出来ます。

「みずみずしく、味はマイルドで甘く、香りがよく、歯切れの良い食感」が特徴と言われています。

雪中は湿度90%以上、多少の空気があって太陽の光は通さず、気温が零度という状態で保存にとても適した環境です。

一部の野菜はこうした環境下で糖度を増すことが実証されています。

現在ではキャベツやにんじんなどで雪の下から掘り出して出荷することで付加価値を高めた商品もあります。

また、とうがらしを雪にさらしてまろみを出す上越地方の伝統的調味料「かんずり」も、雪によって付加価値を生み出しているものの一つです。

近年では日本酒なども「雪中貯蔵酒」として高い評価を受けています。

大自然が育み、厳しい冬を利用した伝統の野菜には、雪と共に生活する先人の知恵と、雪の中で伸びる強靭な生命力が宿っています。

 

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