深海

みなさんこんにちは

特殊水処理機『新ん泉』の櫻井です。

昨今、国際宇宙ステーションなど宇宙への興味・関心を持つ人も多いですが、地球において人類が到達できていない場所も数多く存在しています。

地球の70%を覆っている海の中もまだまだ謎だらけです。

今回は深海について考えてみましょう。

深海とは

深海とは太陽の光が届かない暗黒の海のことです。

一般的に植物プランクトンが光合成できる限界とされるのが水深200mなのでそれより深いところを「深海」と呼ぶことが多いようです。

この条件で考えた場合、海の95%程度が深海に分類されます。

水深200mに届く太陽光の強さは海面付近の0.1%程度にまで減少し、水深1,000m前後では100兆分の1程度のわずかな光になります。

生物が光を検知するには最低限この程度の光が必要だと言われています。

海底の深さは平均で3,730mと言われており世界最深部は西部太平洋マリアナ海溝の水深約10,920mとされています。

水圧は10m潜るごとに1気圧ずつ増えていきます。

水深1,000mで101気圧、1㎠に約100kgの力がかかります。

つまり、小指の先に10kgの米袋を10個乗せるような圧力です。

これでは人間は潰れてしまうのではないかと思いがちですが、実は違います。

例えば「空のペットボトル」と「水を満タンにしたペットボトル」を深い海に沈めると、水で満たした方のボトルは、深さ6,500mでも潰れません。

これは固体や液体は気体に比べて圧力にとても強いからです。

魚や人間の体を形づくる細胞は水分で満たされているため非常に潰れにくくできています。

人間の細胞を使った実験では、4,000~5,000mの水圧になると細胞を支えているたんぱく質の形がゆがむことがわかっています。

ちなみに深海魚は圧力に強い特別なたんぱく質を使っていて、外側と内側の圧力が釣り合って潰れないようになっています。

逆に深海魚を急速に水面に引きあげると魚の体内にあるガス(気体)が急にふくらんで体が破裂したり、目が飛び出したり、内臓が口から出てしまうそうです。

しかし、ゆっくりと海面まで引き上げれば体が破裂してしまうことはないので深海魚の飼育は可能です。

ただし、深海の温度は低温かつ年間を通してほぼ一定であるため、そこに住む深海魚は海面魚よりも水温には敏感な傾向があるようです。

深海底という環境

深海は「暗黒」に加え、「常に4℃以下の低温」かつ「高圧」という条件が揃っており、生物にとっては極限の環境といえます。

さらに海面付近において、光合成を通じてエネルギーを獲得する生物(光合成生物)によって作られる有機物などのエサも、水深200mぐらいまでにそのほとんどが食べられてしまいます。

表層から深海にもたらされる有機物は1%程度とごくわずかしかなく、餌になるものがほとんど無いのです。

そのため20世紀の中頃まで深海底には生物のほとんどいない “深海砂漠”が広がっていると考えられていました。

ところが、1977年にアメリカの潜水艇が、ガラパゴス沖の水深2,500m地点において、マグマによって熱せられ海底から噴出する熱水に群がる二枚貝などの生物を発見したのです。

驚くべきことに、その生物達は熱水に含まれる硫化水素やメタンを栄養源にして生きていることがわかりました。

普通の生物にとって猛毒である硫化水素を無毒化させるどころか、エネルギーとして利用していたのです。

硫化水素やメタンをエネルギー源とする化学合成細菌というバクテリアを体内に共生させ、そのバクテリアから栄養をもらうことを可能にしており、中には口や消化管さえ捨て去り共生細菌にだけ頼って生きるツワモノもいます。

これは深海底に見られる生態系は太陽エネルギーの恩恵を受ける植物プランクトンが一次生産者となる海面付近や陸上の生態系とは根本的に異なっています。

そういった特異性から深海底は地球初期からの環境や進化を追う手がかりと考えられています。

地球上で最初の生命が誕生した場所は、熱水噴出孔だと言われており、深海底生物を研究することは、生命の進化までの道のりを解き明かすだけでなく、地球外の生命の可能性を探る手がかりともなり得るとても壮大な研究なのです。

海洋深層水

深海にある海水のことを海面付近の水と分けて「海洋深層水」と呼びます。

“深層”という名前から分かるように、海洋はその深さによって幾つかに分けられています。

海面付近の海水と深海で採れる海水を比べると、深海では「年間を通じて低温」「無機栄養塩類(硝酸塩・リン酸塩など)が豊富」「清浄性」「水質の安定性」という利点があります。

そのため、冷却の用途、豆腐などの食品生産、海藻や魚介類の飼育などに活用されています。

飲料水としてこの海洋深層水が利用できるのではないかという研究もされていますが、一般的な方法で海水から塩分を取り除く脱塩を行おうとすると豊富なミネラル成分も一緒に取り除かれてしまいます。

これでは海洋深層水の利点がまるで活かせないものになってしまうので、今後の技術の向上に期待したいですね。

深海底の鉱物資源

世界の深海には約5000億トンのポリメタリックノジュールと豊富なレアアース泥が存在していることが確認されています。

日本のEEZ(排他的経済水域)内にもこれらの資源が豊富存在していることが分かっています。

それ以外に、メタンハイドレートも日本のエネルギーの100年分は十分にある事が分かっています。

ポリメタリックノジュールは直径2センチから15センチの塊でジャガイモのような形を想像してください。

その中にはマンガン・ニッケル・銅・コバルトなどの金属が含まれていて、1センチメートル成長するのに100万年もかかると言われています。

レアアース製品は日本が一番得意としているハイテク産業の中核をなし、市場規模は年間5兆円に達するようです。

しかしこれらのポリメタリックノジュールやレアアース泥は2000メートルから5000メートルを超える深海底に存在していますので、そこからの採掘・採泥の技術の確立にはまだまだ時間が掛りそうです。

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