ラッコ(海獺)
みなさん こんにちは
特殊水処理機『新ん泉』の櫻井です。
つぶらな瞳とユニークな表情で私たちを笑顔にしてくれるラッコは、水族館の人気者というイメージがあります。
しかし現在は水族館でラッコに会える機会がとても希少になっているのはご存知でしょうか。
今回はかわいいだけじゃない「ラッコ」について考えてみましょう。
ラッコとは
ラッコは北アメリカとアジアの太平洋沿岸に生息し、大半の時間を海で過ごすことが多く、水面に静かに休むように浮かび、そのまま眠ることもあります。
ラッコはカワウソの仲間で、その中から海洋に進出して、陸に依存せずに棲息可能なまでの適応を遂げた唯一の現生種です。
水分は海水を飲むことで補っており、過剰な塩分を排泄するためにカワウソ類の2倍もの大きさの腎臓を持っています。
哺乳類の中でも最も体毛密度が高いと言われ、たった1㎠あたりの皮膚に人間の頭髪の総量に相当する毛(10万本以上)が密生しています。
この大量にある毛の間に空気の層を作り、海洋を漂うための浮力と、寒冷な海洋でも防寒する効果を得ることで生息しています。
皮下脂肪が少なく体温維持のためにはカロリーをひたすら摂取しなくてはいけません。
そのため1日あたり体重の2~3割もの魚介類を食べる必要があります。
これは体重30キロのラッコなら10キロ程食べる計算です。
貝類が好物であり、食べる際のお気に入りの石をわき腹のたるみをポケットにして、しまい込んでおく習性があります。
とてもこだわりが強く、各自が持つお気に入りの石はラッコにとって宝物のようなもので、仲間に自慢する光景が確認されることもあります。
この”宝物の石”をどれくらい気に入っているかというと、”宝物の石”をなくしてしまうと1日10キロも食べていた食いしん坊が落ち込んで食欲を失ってしまう場合もあると言われるほどです。
ラッコと生態系
ラッコは大食漢な上に、偏食家としての一面も持ち合わせています。
そのため好物があるとその好物だけ食べ続ける傾向があります。
例えばラッコはウニが大好物で、長く生息する海域ではウニが食い尽くされてしまうと言われるほどです。
そのため漁業関係者にとってラッコはウニの天敵であり問題児です。
しかしラッコは自然環境にとって重要な役割を担っていると考えられています。
当初ラッコは世界に15万~30万頭ほど生息していると推定されていましたが、そのふわふわな毛皮を目的に乱獲され、20世紀初頭にはラッコが絶滅したと言われるほど激減しました。
実際は運よく1000頭~2000頭いたようです。
その時期にウニや貝類が大漁となり漁業関係者は非常に喜びました。
一方でウニや貝類の主食であったコンブの類がウニの増殖により激減してしまうという事態が起きていたのです。
たかがコンブと思うかもしれませんが、コンブは小魚の隠れ家、プランクトンの棲み処、CO2の吸収など海の環境を整える重要な役割を持っているのです。
生態学者はこの事態に警鐘を鳴らしラッコの生態系への影響を説きました。
現在は法律による保護のおかげもあって、個体数が回復し、10~15万頭ほどが生息しているものと言われています。
ちなみに、通常は生態系からある1種が失われたとしても、それにより生態系のバランスが直ちに崩壊することはありませんが、ラッコのようにその種がいなくなると生態系に大きな変化が起きるケースを「キーストーン種の喪失」と呼びます。
かわいらしいラッコが実はとても重要な立場にいるわけです。
ラッコと水族館
ラッコには水族館で簡単に会えると思っている人は多いかもしれませんが、実は2020年7月で日本の水族館には7頭しかラッコはいません。
それが2023年9月には三重県の鳥羽水族館に2頭、福岡市のマリンワールド中道に1頭の計3頭だけになってしまいました。
最多時(1994年)には28館に122頭がいたラッコですが、繁殖が難しく、絶滅の恐れのある生物の取引を管理するワシントン条約によって国際的な取引が規制され、主な生息地である米国からの輸入は1998年に途絶えました。
2000年にはラッコを国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種に分類しました。
規制が強化されたため、今後国内の水族館でラッコに会える機会は少なくなっていくようです。
現在、北海道東部の霧多布岬で野生のラッコが14頭確認されています。
それを目当てに観光客が殺到しているというニュースが有りました。
ルールを守って野生のラッコ見学も如何でしょうか?
実はラッコに出会えるのはとても貴重な体験なのです。