インフルエンザvs人類(2)
みなさん こんにちは
特殊水処理機『新ん泉』の櫻井です。
ここ2年程新型コロナの流行で、手洗い・マスク・消毒が徹底され、インフルエンザの流行が起こりませんでした。
しかし、寒さとともにやってくるのがインフルエンザの流行ですが、このインフルエンザと人類の戦いの歴史は長く、 一進一退を繰り返しています。
今回はこのインフルエンザについて考えてみましょう。
インフルエンザの流行
インフルエンザと人とのかかわりは古く、古代エジプトや古代ギリシアの時代にそのような流行性疾患の記録があるそうです。
インフルエンザの流行が科学的に立証されているのはごく最近の1900年頃からのことで、20世紀にはインフルエンザによる世界規模大流行が4回ありました。
有名なものとしては1918年3月から1919年に猛威を振るった「スペインかぜ」があります。
当時の世界人口が20億人程度だったと言われているのに対し、世界人口の30%にものぼる約6億人が感染したと考えられており、死者は4000万人~5000万人とも言われています。
日本でも当時の国民人口5500万人の約半数にあたる2000万人以上が感染し、約40~50万人の犠牲者が出たと推定されています。
実は第一次世界大戦(1914年~1918年11月)は「スペインかぜ」の流行による戦病死者が続出したために、終結の時期が早まったと言われています。
この戦争が世界中に感染を広げた原因だとも言われています。
「スペインかぜ」という名称から、スペインで感染が始まったと思われがちですが、スペインは感染情報の発信源でしかなく、もともとの感染は1918年3月にアメリカシカゴ付近から始まったようです。
アメリカ軍が第一次世界大戦参戦とともに大西洋をわたっていった結果、その2,3ヵ月後のうちにヨーロッパで大流行してしまったのです。
そして、同年秋に第2波として、ほぼ世界中で同時に発生しました。
第2波では、ウイルスがより強力になっていたため重症化してしまうことや、合併症を起こすきっかけになり、死者が急増した原因とされています。
さらに、第3波は翌年の1919年春から秋にかけて、世界を襲いました。
日本ではこの第3波での感染が一番大きな被害となりました。
スペイン風邪の恐ろしさは、変異しながら、強毒化していった事だったのです。
変異と突然変異
インフルエンザには従来から流行っている『季節性インフルエンザ』とこれまでに一度も流行したことのない『新型インフルエンザ』と呼ばれるものがあります。
インフルエンザに一度かかると、その原因となったウイルスに対しする免疫が高まります。
一度かかったことのある季節性インフルエンザに対しては、免疫をもっていることになります。
しかし、新型インフルエンザは、その前年までにない、新しいウイルスが原因となっています。
新型には誰もが抵抗する力をもたないので大規模な流行になり易いのです。
インフルエンザウイルスは自分の力では増殖することができず、他の生物に感染し、感染した細胞の中で自分の遺伝子のコピーを作り増殖していきます。
その結果、感染されたほとんどの細胞は死滅してしまいます。
インフルエンザウイルスの遺伝子は、人の遺伝子に比べると誤ったコピーが発生しやすく、このコピーミスを変異といいます。
これは人間で言う「がん細胞」ができる仕組みと同じようなものですが、ウイルスの場合は若干の変化が生じます。
一度、インフルエンザにかかったのに、何度でもかかることがあるのは、このように少しずつ変異を繰り返したものに感染しているからです。
さらに、インフルエンザウイルスは数十年に一度、突然変異を起こすことがあります。
例えば、2009年に世界的な大流行を引き起こした新型インフルエンザは実は「スペインかぜ」の原因となったウイルスと同型のものが突然変異して出来たものなのです。
「豚と鳥」は共通のインフルエンザにかかる可能性があり、「豚と人」も共通のインフルエンザにかかる可能性があります。
つまり、豚は「鳥に感染しやすいように変異したインフルエンザ」と「人に感染しやすいように変異したインフルエンザ」という別々のインフルエンザに同時に感染してしまう可能性があるということです。
「鳥用」「豚用」「人用」という異種のインフルエンザが複合して、それまでとは全くの別物のウイルスへと突然変異してしまったのが2009年の新型インフルエンザであると推測されています。
現在、「鳥インフルエンザ」と呼ばれるタイプに人が感染した場合、その死亡率は非常に高いのですが、このウイルスは鳥に感染し易い構造ではありますが、人に対しては感染しにくい構造なのです。
ちなみにまだ、人から人に「鳥インフルエンザ」が感染したという報告はありません。
しかし、今まで鳥の間でだけ流行していた鳥インフルエンザが突然変異によって、その毒性を維持したまま人から人へ感染できるように突然変異する可能性があるのです。
そんな新型インフルエンザウイルスが誕生した場合、それによる死亡者数は1億人以上になると予想されています。