イカ(烏賊)
みなさんこんにちは
特殊水処理機『新ん泉』の櫻井です。
イカは一部の研究者に海の霊長類と比喩されるほどに知能が高いことが知られていますが、馴染みの深いイカについての研究はまだまだ進んでいない分野です。
今回はこの身近な不思議生物…イカについて考えてみましょう。
イカとタコの違い
現在、イカは450種ほどいることがわかっています。
タコはまだ300種くらいしか発見されていません。
ちなみにイカ・タコの祖先にあたるアンモナイト類の化石は2万種も掘り出されていますので、現在のイカ・タコ類は化石時代よりも多様性が低いと考えられています。
一般的にイカの足(腕)は10本、タコの足は8本と言われていますが、正確にはイカの足も8本です。
イカには普通の腕とは異なった特別に長い腕が2本あります。
この腕は「触腕」といい、餌を捕る際に利用されます。
生きている間は伸縮し、種によっては身体の中にしまうこともできるのですが、死んでしまうと筋肉が緩み、だらりと伸びてくるため10本足にしか見えなくなります。
足の数以外にも、イカとタコを見分ける部分があります。
一つ目は吸盤の形です。イカの吸盤はカップのような形状です。
カップのフチには歯のような角質があり、これに引っ掛け噛み付かせるようにして張り付きます。
一方、タコの吸盤は、木の切り株のような形をしていて、筋肉の収縮で吸い付くのです。
二つ目は墨の違いです。イカの墨は、粘液物質を含むため吐き出したスミは水中で散らばらずに不定形なかたまりとなります。
イカはこの墨を自分のダミーとして吐き出し、敵の目がそちらに向かっている間に逃げるのです。
つまりトカゲのしっぽ切りに近いといえます。
更に言えば、この粘液にはうまみ成分のアミノ酸も含まれているので「美味しい」のです。
これが“イカ墨パスタ”はあっても“タコ墨パスタ”がない理由と言えるでしょう。
対する タコの墨は、粘液物質が少なくサラサラとしているので、煙幕のように散らばります。
そのため敵の視界を奪い、目をくらます働きがあるのです。
両者の墨を忍術に例えるならば、イカの墨は代わり身の術で、タコの墨はめくらましの術なのです。
このようにタコとイカには意外と知られていない違いがたくさんあるのです。
イカの研究
イカは人間や、他の生物と少し異なった体の作りをしています。
人間は頭→胴→足の順番でつながっていますが、イカやタコの場合、足→頭→胴という奇妙なつながり方をしています。
このように、頭部に直接足が生えている生き物を「頭足類」と呼びます。
頭足類は、軟体動物の仲間で、貝の仲間に分類されます。
これはアンモナイトを考えるとイメージしやすいかもしれません。
貝殻で体を覆いながら泳いでいたものが、進化が進むにつれてこの貝殻がどんどん小さくなっていき、最終的に貝殻を捨てたということです。
イカについては現在も様々な研究が行われております。
例えば、イカ(特にコウイカ)は擬態の名手として知られています。
カメレオンなども体色を変えますが、それらの体色変化はゆっくり起きます。
しかし、イカは自らの皮膚を一瞬の内に様々な色に変色させる能力を持つのです。
その擬態能力を基に作られた光学迷彩(背景に紛れて透明になったように見せる技術)が研究され、実用化に向けた実験が進められています。
この技術を応用すれば、将来は気分によって色を組み替えられる服なども出てくるかもしれませんね。
またイカは医療の現場においても注目を集めています。
イカスミにはリゾチウムによる防腐作用やメラニンによる胃液分泌の抑制作用などがあります。
他にも、イカスミに含まれるムコ多糖-タンパク質複合体と言われる成分をガンになったマウスに対して投与したところ6割に対して治癒または延命効果を示すことが判明しました。
しかし、不思議な事にこの成分が腫瘍細胞に対して直接働きかけるような効果ほとんど見られなかったそうです。
このことから、イカスミには免疫細胞を活性する作用があるのではないかと期待されています。
これからも、イカの研究が進めば新たな発見が出てくることでしょう。