日本の水道技術
みなさんこんにちは
特殊水処理機『新ん泉』の櫻井です。
日本では「水は買って飲むもの」という感覚を持つ人の方が多くなっているように思います。
しかし、日本の水道技術は日本の誇るべき技術の一つとして知られているのはご存知でしょうか。
今回は日本の水道技術について考えてみましょう。
日本の水道
日本における最古の水道は16世紀半ばに小田原城下に川から水を引いて作られた小田原早川上水と考えられています。
現代のように原水を濾過浄水し、有圧による常時給水を行う「近代水道」と呼ばれる設備は、1887年に外国人居留地用に布設された横浜水道が始まりです。
これは海外から持ち込まれたコレラなどの、水を介して広がる伝染病対策を主目的としたものでした。
その後も函館、長崎と外国の窓口である港湾都市を中心に次々と近代水道が普及していきます。
2018年には普及率98%に達し「国民皆水道」とも呼べる状態になっています。
日本の水道システムの完成度は高く、主要先進国の中でも一、二を争う高度なシステムです。
例えば、日本のように全国どこでも水道水を飲むことができる国は世界にわずか11カ国しかないといわれています。
また先進国の大都市における平均的な漏水率が約10%(ロサンゼルスで9%、ロンドンで26%)といわれる中、東京都においては約3%、全国平均でも約5%という漏水率を維持しており、世界最先端の都市水道モデルとして名を轟かせています。
下水道の普及率
1960年代、異臭(カビ臭)やカルキ臭によって水道水が不味くなったと言われ始めました。
当時の日本では、家庭やビルから出る汚れた水がそのまま河川に流れこんでいました。
その結果、川から魚が消え、泳ぐことも禁止され、川はドブ川となってしまいました。
日本では昔から、し尿を農業などに利用していた側面も有り、汚水処理という考えはあまり行き届いていませんでした。
40年ほど前から下水道の整備とともに水質が改善され、2007年には200万匹をこえるアユが戻ってきています。
また下水処理技術が進歩したことによって、ホタルの生息数も増えたといわれています。
2020年12月時点では日本の下水道普及率は80.1%です。
実は日本の場合、コスト面の問題から汲み取り式の浄化槽を活用することも多く下水道の普及率自体はやや遅れ気味です。
しかし、世界と比較しても高度な処理を行っているため注目されています。
下水道を通ってきた汚水は下水処理場で汚泥と水(処理水)に分けられます。
汚泥は主に焼却され肥料や再生エネルギーとして活用されます。
処理水は病原性細菌などによる放流先の汚染を防ぐ目的で消毒をされた後に河川などに放流されます。
殺菌方法として主流なのは塩素の注入ですが、消毒時に必要以上の塩素を注入した場合、放流先の生物への影響や塩素と有機物が反応してできるトリハロメタンの生成といった問題が生じるため注意が必要です。
最近では、塩素に変わる消毒方法としてオゾンや紫外線による消毒といった方法が開発されています。
また、処理水を河川には放流せずにより高度な処理を行い再生水としてトイレや噴水に利用する場合もあります。
下水処理の歴史はまだ浅いため、今後研究が進んでいくことで様々な発展が期待される分野なのです。
水道水の課題
処理技術の発展や環境整備のおかげで、水道水の品質は年々良くなっています。
しかし、浮上してきたのが「水道管の老朽化問題」です。
水道水を届ける役割を果たす水道管が老朽化すると、そこを通る間に水質が劣化します。
各水道局では随時水道管の更新を手配していますが、特に過疎地域においては水道事業の収入も減少傾向にあり、予算が組めないという事態に陥っています。
これにより水道料金の値上げが必要になるなど「水道格差社会」の到来が懸念されているのです。