うま味【旨み】
みなさん こんにちは
特殊水処理機『新ん泉』の櫻井です。
日本食の特徴のひとつとして、ダシの活用が挙げられます。
ダシはうま味調味料として部類されるように、うま味を活かすための工夫が長年なされてきました。
今回はうま味について考えてみましょう。
味覚の役割
私達が食べ物を味わうことが出来るのは、口の粘膜にある味蕾(みらい)という器官が味を感じとるためです。
【甘味】【塩味】【うま味】【酸味】【苦味】の基本味といわれる5つの味を感知し、その情報が味覚神経を通じ脳に伝わってはじめて食べ物の味を感じとることができます。
味蕾は舌の上だけでなく上顎や喉にもあり、舌で感じる味は65%、残り10%は上顎、25%は喉で感じていると考えられています。
その味蕾で感じとることが出来る5つの基本味にはそれぞれ
【甘味:エネルギー源の味】
【塩味:生命活動に必要なミネラルの味】
【うま味:体を構成しているアミノ酸などの味】
【酸味:体に有益な酸や食べ物の腐敗した味】
【苦味:有害な物質や毒物の味】
というように私達の体に影響する成分の味を分類していると考えられます。
こういった味の分類は、0歳児ですでに形成されており、おいしい・まずいの感覚は、1歳から5歳くらいまでの間に備わります。
味蕾細胞の数は10歳から12歳でピークに達し、その数は10,000個にもなると言われています。
その後、年齢を重ねると共に味蕾の数は減少し、成人時にはおよそ7,500個になり、30歳前後から老化が進むに連れ徐々に減少し最終的には5,000から3,000にまで減少してしまうようです。
味覚を担う味蕾細胞は10~12日という短いサイクルで次々と新しい細胞と入れ替わっていきます。
食べることは生きるためには必要不可欠であるため、視覚・嗅覚・聴覚などと比べて細胞の新陳代謝が活発で、とても衰えにくい感覚なのです。
うま味物質の3分類
人が「うま味」を感じる物質は、【アミノ酸系】、【核酸系】、【有機酸系】の3系統に分けられます。
アミノ酸とはたんぱく質を構成する最小単位の物質のことです。
私達の髪の毛や筋肉などはすべてアミノ酸の組み合わせからなるタンパク質によって形成されています。
【アミノ酸系】のうま味物質は、昆布に多く含まれる「グルタミン酸」やアスパラなどに含まれる「アスパラギン酸」があります。
核酸とはリン酸を含んだ物質のことで、生物の代謝や運動エネルギー源となります。
【核酸系】のうま味物質は、煮干し、かつお節に多く含まれるイノシン酸、しいたけに多く含まれるグアニル酸などです。
有機酸とは一般に窒素を含まない炭素化合物のことを言い、酢酸、クエン酸、乳酸が有名です。
【有機酸系】のうま味物質は、貝類に多く含まれるコハク酸が知られています。
ちなみに、わたしたちの身体は体重のおよそ60%が水分であるといわれますが、残りの40%のうち約半分である20%がたんぱく質などのアミノ酸でできています。
アミノ酸系のうま味物質であるグルタミン酸は体重の約2%を占めています。
体内に取り込まれたグルタミン酸は、主に興奮系の神経伝達物質として働き、脳機能を活性化させ、認知症の予防効果や記憶力や学習能力などを高くするともいわれています。
また、グルタミン酸はアンモニアを取り込みグルタミンに変換することで、アンモニアを無毒化し、尿の排出を促進する効果があります。
その他にも、美肌効果・血圧低下・脂肪の蓄積を抑える効果が期待できます。
ただし、とりすぎると脳細胞に障害を与える可能性があるという報告もあるので注意も必要です。
うま味の活用
淡泊な味の米を主食に、副菜もうま味成分が希薄な植物性食品が多かった日本では、昆布や干した魚類などからダシをとってうま味を加え、おいしく食べる工夫をしてきました。
塩味、苦味及びうま味を付与し、食べ物の味く食べる工夫をしてきました。
日本料理では、昆布でダシをとった後、さらにかつお節でダシをとり、精進料理の場合は昆布にシイタケを組み合わせます。
これはうま味に相乗効果があるためです。
アミノ酸系のうま味(昆布)と核酸系のうま味(かつお節やシイタケ)とを合わせると、単独の時よりもはるかに強いうま味が得られるのです。
「昆布ダシ」と「かつおダシ」を1:1の比率で配合するとうま味の強さが最大約8倍に達するのですが、実はそれだけではありません。
なんと、「昆布ダシ」単独の時に比べて、濃度を100倍にまで薄めても、味を感じることができるようになることが判明しています。
「かつおダシ」や「シイタケダシ」には、「昆布ダシ」などが持つうま味を“増強”してくれる作用があるのです。
ちなみに実際の料理においては「昆布ダシ」と「かつおダシ」は5:1の比率がよいとされます。
それは①「昆布ダシ」に比べて「かつおダシ」の方がずっとコストが高いこと.
②5:1と1:1では味にそこまで大きな差がでないことなどが理由としてあげられます。