『マイナスイオン』の噓!?
みなさん こんにちは
特殊水処理機『新ん泉』の櫻井です。
健康によく、おいしいと言う触れ込みで「マイナスイオン水」を設置しているスーパーなどをみかけます。
「マイナスイオン」を売り物にした商品は2004年ごろをピークに減少していますが、まだ多数見られます。
「マイナスイオン」は本当に表示どおりの効果をもつのでしょうか?
今回は「マイナスイオン水」について考えてみましょう。
「マイナスイオン」は科学にはない!
「マイナスイオン」は和製英語つまり造語で正式な科学用語ではありません。負(マイナス)の電気を帯びている(電荷)イオンは「陰イオン(negative ion)と呼ばれます。
そもそもイオンとは何でしょうか。
イオンとは電荷を帯びた原子や分子で、酸素の例では、電気的にもともと中性だが、構造が不安定だった酸素原子が外部から電子2個を取り入れて安定的になったものの、電気的には負の状態になったものを酸化物イオンといいます。
(もちろん物質によって陰イオンになるか逆に陽(プラス)の状態になるか決まっています。)
したがってイオンはある物質が電気的に負荷が変わり、イオン化したものです。
電荷の状態で区別する場合でも正負または陰陽で区別し、プラスイオン・マイナスイオンと呼ぶことはありませんし、負の電荷をもつイオンを総称する場合も陰イオンです。
「マイナスイオン」は科学的な定義もあいまいで、「健康に良い」というイメージで盛んに使われましたが、科学的に研究され、その効果が認証されたものはほとんどありません。
「マイナスイオン発生器」というもので毎秒何十万個のマイナスイオンを発生させると表示しているものが多数ありますが、イオン物質を特定せず、具体的に大気中の酸素の酸化物イオン(O2-)を発生させているとか,水の水酸化物イオン(OH-)であるなど物質名をきちんと特定させたデータを示しているものはありません。
1999年から放映されたテレビの情報バラエティ番組「発掘!あるある大事典」で「マイナスイオン」の特集番組を放送したことでブームがおこりましたが、科学的なことを装って消費者を誤解させた事例と言えるようです。
「マイナスイオン」の効果
滝の側では「マイナスイオン値が高いために爽快さがある」」といわれますが、本当にそうでしょうか?
マイナスイオンはイメージの世界であると言う科学者もいます。
確かに滝の側では爽快さが感じられますが、これは飛び散った細かな水滴が気化する時の気化熱による空気の冷却による涼しさ、都会の喧騒から離れたことによる静けさ(滝の音のみ聞こえる)や空気の清浄さ(車の排ガスなどのない)、木々の緑や水そのものが目に及ぼすやさしさ等、これらの普通に想定される快適要因と考えられ、科学的に実証されていない「マイナスイオン」をその原因として特定することは不自然と思われます。
室内の場合、仮に「マイナスイオン発生器」で毎秒50万個の「マイナスイオン」を発生させたとしても(それだけ聞くと凄い数値ですが!)、空気1CCの中には2500京個(=25,000,000兆個)の分子があり、全体からみれば50万個のイオンもゼロに等しいと言えます。
別の表し方をすれば「マイナスイオン」50万個を1滴の水に例えると、1CCは2500万トンのダムに相当しますので、一滴の水を混ぜてもダムの水全体の性質を変えることはできません。
しかも「マイナスイオン」はせいぜい寿命が数十秒ですからいくら発生器でマイナスイオンを発生させても何の役にも立っていないといえるでしょう。
同様に、健康に良いからと500万個の「マイナスイオン」を体に取り入れたしてもそれは1fg=0.000000000001mgで人間の細胞は37兆個、異物を除去する活性酸素は1日1細胞当たり10億個発生しますので、「マイナスイオン」が体に行き渡り、活性酸素を中和するというのは非現実的な話といえます。
「マイナスイオン水」の疑問
おいしい水や健康に良い水を要望する声に答えて名水の販売コーナーや供給装置が店舗に設置してありますが、今回のテーマに関連して「マイナスイオン水」というものが実際に店舗においてありますので、内容を検討してみました。
(疑問1)
「マイナスイオン水」は水道水に電子を付加してできた中性水と記述。
→水道水のイオンバランスを変えれば中性ではなくなるが、それはバランスを変えるほどの変化ではないと言う意味?
もし物質を溶解して陰イオンを付加したのなら、どんな物質か問題。
(疑問2)
「マイナスイオン水」は電子量が多く、クラスター(水の分子の大きさ)が非常に小さいので、すばやく体内に吸収されやすく、体液の浄化を促す効果があると記述。
→もし本当に電子量(?)が多いとすれば、人間の体液は精妙なイオンバランス(カルシュウムイオン(Ca+)やカリウムイオン(K+)など)によって管理されているので障害の可能性大。
もっとも吸収の過程で胃液その他で中和されたりしてそのまま吸収されないことが予想される。
またクラスターの大きさと「マイナスイオン」は無関係では?
(疑問3)
飲料水としての使用はしないでくださいと記述。
→飲料として利用できない危険なものはもちろん調理用としてあっても危険性は同じ。
水道水は飲用なのにそれに「電子」を付加したら何故飲用できないのか?不思議な話です。
(疑問4)
マイナスイオンは酸化還元がスムーズにおこなわれ、新陳代謝が活発になると記述。
→新陳代謝は体の老廃物排出現象でこれは電解質(イオン)のバランスに左右されている。
もし「マイナスイオン」が多量に送られれば新陳代謝を阻害すると思われる?
などなど他にも非常に疑問点の多い内容です。
ご利用の人は十分確認してからご利用されることをお奨めします。