水の表面張力

水は人間にとって必要不可欠な物質であり、もっとも身近な存在ですが、ある意味では異常ともいえる性質をもつ物質です。

今回は水の基本的な性質の一つであり、日常生活にも深く関わっている水の表面張力についてお伝えしましょう。

表面張力とは?

 

雨がふった後、葉っぱの上に水のつぶが丸くついている様子を思い出してみてください。

この時の、水が丸くなろうとする力を「表面張力(ちょうりょく)」とよんでいます。

では、水にはなぜこのような力が働くのでしょう?

水を構成する分子には、おたがいに引き合う力が働いています(分子間力といいます)。

でも、水の一番外側、つまり表面の水の分子は、空気と接していて不安定な状態です。

そこで水は、表面の空気に接しいている面積を一番小さくして、なるべく安定した形になろうとしますが、表面積が最も小さく、水にとって安定した状態が丸いボールのような形というわけです。

水道の蛇口から水滴がポタリポタリと落ちていく際、水滴が球形に近い形状を示すのも水の表面張力が働くためです。

その水滴の大きさも表面張力に関係します。

上図のようにガラス管の下面に水滴が成長し、その重量がガラス管と水滴を結び付けている力を上回ると、水滴が落下することになります。

その水滴とガラス管とを結び付けている力は、ガラス管の下面の外側周に沿って作用している表面張力です。

外径5mm内径は1mm のガラス管があるとして計算すると20℃では水滴の重さは0.117g、  直径約6mm ということになり、ほぼ図に示したような状態で水滴が落下していることがわかります。

地球上では重力の影響で完全なボール状の水というのは見ることができませんが、宇宙では、水はボールのような形になり、空間にうきます。

毛利宇宙飛行士がスペースシャトル内で実験して作った水中花は、空中に浮く球状(きゅうじょう)の水の中に、桜湯に使う塩づけの桜の花が入っています。

水の表面張力は異常!?

水はごく身近に見られる普通の物質ですが、物の特性(物性)から言うと、かなり特殊な物質ともいえます。

たとえば水のように通常の生活条件下で液体、気体、固体の三相の状態変化をみることができるものはありません。

上表のように他の液体と比べるとわかるように水銀を除くと液体では最大の表面張力を示します。

この表面張力がずば抜けて大きいと言う事が、水が特殊な物質でであると言う事に関係しています。

100メートルも有る様な高い樹木の頂点まで水や栄養がいきわたる事や、人間の身体の隅々まで血液や栄養が送れるのもこの水の高い表面張力があるからなのです。

一方、表面張力は、温度が上がれば低くなります。これは温度が上がることで、分子の運動が活発となるためです。

また、不純物を溶け込ませることによっても影響を受けます。

洗剤などの界面活性剤で表面張力を減らした水のうえではアメンボも沈んでしまいます。

洗浄力と表面張力

洗浄力と表面張力は密接な関係があります。

洗濯=洗浄するということは汚れを衣類や食器などから引き離し、それらの汚れを水の中に引っ張り出すことです。

言い換えるとその汚れに水がくっつきやすい状態ならば(親水性が高いといいます)、水は容易に汚れにくっつき、汚れを取り囲んで水の中に溶け込ますことができます。

水にくっつくためにはまず水に“ぬれる”ことが必要です。

濡れる部分を多くすると言う事です。

表面張力が小さいと“ぬれ”は大きくなり、表面張力が大きいと“ぬれ”は小さくなります。

“ぬれ”が大きいと汚れは付着部分から切り離され、水の“カプセル”に閉じ込められて(ミセル状態といいます)水の中に溶け込むことになります。

水鳥の羽や毛のセーターは油脂などの疎水性の高い(=水をはじく)物質で覆われているので水に“ぬれ”にくくなっています。

したがって汚れをよく取るためには表面張力を低く(=界面活性力を高める)して、水によく濡れることが必要です。

その方法としては上図で分かるように水の温度を高くする方法があります。

油のように水にくっつきにくいものでも、お湯で洗うと汚れが落ちやすいというのは温度の上昇で表面張力が低下するためです。

また洗剤などの界面活性剤を使うと表面張力は低下します。

特殊なセラミックの中に水を通すことで表面張力を低下させることが出来ます。

最近行われた東京都内の試験では21℃の水が47℃の水と同じ表面張力に低下する結果を出した装置が注目されています。

いわば水であってもお湯と同じ力をもつということになります。

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