塩(2)
みなさんこんにちは
特殊水処理機『新ん泉』の櫻井です。
前回は生命に対して塩がどのように働いているのかを書きましたが、塩は日常生活においても非常に重要な役割を持っていることはご存知でしょうか?
今回も塩について考えてみましょう。
さまざまな塩
塩(しお)は、塩化ナトリウムを主な成分とし、海水の乾燥・岩塩の採掘によって生産される物質です。
塩味をつける調味料とし、また保存(塩漬け・塩蔵)などの目的で食品に使用されるほか、ソーダ工業用・融氷雪用などにも使用されています。
日本の塩事業法にあっては、「塩化ナトリウムの含有量が100分の40以上の固形物」(ただし、例外も有り)と定義されています。
世界には、様々な塩資源がありますが、どれもみな海水が形を変えたものであり、もとをたどれば全て海水です。
資源別に塩の製法を詳しく見ていきましょう。
海水・・・
雨が少なく乾燥した地域では、海水を塩田に引き込み、太陽熱と風で水分を蒸発させ塩の結晶を得る天日製塩の方法がとられています。
日本では、多雨多湿の気候から天日製塩は難しく、古来より海水を一旦濃縮し、それを煮つめるという2段階方式で塩をつくってきました。
この海水を濃縮する方法が、塩浜やイオン膜であり、最近はタワー式やネット式などいろいろな方法で作られます。
メキシコには東京都23区と同じくらいの面積を持つ世界最大のゲレロネグロ天日塩田があり、およそ2年かけて海水から塩を作っています。
岩塩・・・
ヒマラヤ山脈では標高4000m以上の地点でも岩塩は採掘されますが、この岩塩も大昔、海の一部が大陸の移動や地殻変動で陸地に閉じ込められ海水の湖となったものが干上がって塩分が結晶化し、その上に土砂が堆積してできたと考えられています。
形成時期は5億年から200万年前といわれ、世界にある岩塩の推定埋蔵量は、現在知られているだけでも数千億トンにもなり、岩塩由来の地下塩水(岩塩が地下水で溶かされて濃い塩水になったもの)も含めると、世界の塩の生産量の約3分の2が岩塩からつくられています。
このように地球上には多くの岩塩が埋蔵されていますが、日本国内には存在しないといわれています。
岩塩の採鉱法には「乾式採鉱法」と「溶解採鉱法」の2通りあります。
岩塩は鉱物などの異物を含んでいることがあるため、一旦水に溶かして異物を取り除いてから再び結晶化させる方法もとられています。
湖塩・・・
大昔、海だったところが地殻の変動で陸に封じこめられ、水分が蒸発して濃度が濃くなったのが塩湖(濃い塩水の湖)です。
塩湖から採取した塩を湖塩といいます。
塩湖で析出した塩を掘り出すほか、濃い塩水を使って、天日製塩と同じ方法で塩をつくる場合もあります。
アラビア半島には死海という塩湖があります。
湖面の海抜は-418mと地表で最も低い場所です。
塩分濃度は約30%、これは海の約10倍の塩分濃度であるため、水の湧き出す一部を除いて魚類の生息は確認されていません。
生物にとって正に死の海なのです。
しかし、この死海よりも更に塩分濃度の高い塩湖があります。
アフリカ大陸にあるアッサル湖はアフリカ大陸の最低標高地点でもあり、塩分濃度は約35%、これは塩湖としては世界一の濃度です。
塩消費量・輸入量
世界の塩の生産量は2014年で2億8000万トンと言われており、そのうち天日塩が約36%です。
日本の塩消費は年間約700万トン。自給率は11%程度でほとんどが輸入に頼っており、輸入量 は世界一です。
そのほとんどはオーストラリアとメキシコで作られた天日製塩です。
日本では塩の消費の約80%をソーダ工業用、つまり塩をナトリウムと塩素に分解し、それを原料として様々な工業用品をつくるために使われます。
ソーダ製品の代表は、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)、塩素、ソーダ灰(炭酸ナトリウム)です。
苛性ソーダは紙やアルミ、セロハンテープ、石鹸など、塩素は水道の消毒薬の他、消しゴム、食品用ラップ、浮き輪など、ソーダ灰はガラス・ホーロー製品、CDなどを作る際に用いられます。
その他、皮のなめし、各種化学薬品の製造といった一般工業用にも利用されており、調味料や食品加工として使用されるのは約15%に過ぎません。
調味料としてのイメージが強い塩ですが、実は日常生活に使う様々な製品も塩が基礎原料として活躍することによって作られているのです。