水耕栽培
みなさんこんにちは
特殊水処理機『新ん泉』の櫻井です。
夏は雨の多い季節ですが、農業など栽培にとっては非常に大切な「恵みの雨」でもあります。
水は栽培にとって欠かせないものです。
その水を最大に利用するのが「水耕栽培」です。
今回はハイテクな水耕栽培についても考えてみましょう。
栽培に土は必要?
小学校でヒヤシンスやクロッカスの水耕栽培を学んだ人も多いと思います。
水だけで栽培するのは何となく頼りなく、土があると安心という気もしますが、どうでしょう?
土耕栽培と水耕栽培を比較してみると土耕の場合は設備費が抑えられる。
水耕に比べて生産物のあじが良い(?)等がありますが、管理が大変。
病害が発生しやすい。連作障害が出やすい。
土作りが大変等調整の難しさがあります。
よいものを作るには相当の経験が必要です。
一方、水耕栽培のメリットは連作障害が発生しない。
自動制御が可能で管理に手間がかからない等が挙げられますが、欠点は設備費が非常にかかる(300坪で1000万円くらいかかります)と言う事です。
培養液の調合に相当な化学の知識が必要になります。
更に良質な水が大量に必要になります。
電気料等のランニングコストもかかります。
果菜類などは食味が落ちる(?)等があります。
経営的に成り立つ面積、例えば900坪の施設を建てると約6000万円もかかりますから最低でも3000万円程度の自己資金が必要になります。
全額借入金では到底経営としては成り立ちません。
通年栽培ですから暖房や夏期の溶液の冷却にも相当な経費が必要になります。
今行われているイチゴの高設栽培には水耕と土を使った養液栽培があります。
養液栽培はロックウールや椰子ガラやピートモスなどを高設ベンチに入れて細いチューブで水分や肥料分を施しながら栽培する方法です。
設備費も水耕ほどかからず連作障害も少ない事から最近はこの方法が普及しています。
しかし養液管理には細心の注意が必要で、根に障害を起こす病害が発生すると全滅します。
イチゴの栽培には重油を初めとする資材の高騰や人件費の値上がり、ハウスの維持管理コストの上昇、減価償却費の増加等により厳しい経営状況が続いています。
いずれにしても栽培のポイントは「水」の管理で、これが大切なことは土耕栽培・水耕栽培 両方同じです。
水耕の元祖 もやし
もやしといえばひ弱な、栄養の少ないもののように考えられがちですが、じつは栄養の豊富な、大変な健康食品です。
ご承知のように、もやし栽培には常に大量の水を使います。
まず厳選した原料の豆を洗浄し、短時間高温の水の中で殺菌処理します。
続いて仕込タンクに入れ発芽促進のため、表面の皮がふやけてわれる程度まで「芽出し」した後、所定の温度の水の中に所定の時間漬込みます。
漬込みが終ったら、タンクの水を抜き、クリーンな育萌室で栽培が始まります。
栽培期間中はあらかじめ設定したプログラムに基づいて、もやしが健康に育つように温度管理、散水にはミネラルをたっぷり含んだ無菌の地下水だけを使用します。
この栽培期間中は、一般の路地野菜と違って、農薬とか科学肥料を一切使いません。
正にもやしは清浄野菜そのものです。
こうして手塩にかけて育てられたもやしを、機械と低温の清浄な水を使って手早く種子の殻を取り除きながら洗浄します。
最後に、もやしの表面に付着している余分な水を除去します。
この工程では、もやしの鮮度を維持するため、できるだけ手早く衛生的に処理することと、もやしを傷つけたり折ったりしないよう細心の注意がはらわれ、作業員が直接手でもやしにさわる必要がないよう、すべて自動化されて機械で行われます。
このあと脱水され計量、袋詰めされて出荷されるわけですが、もやしの栽培に利用されるのは水だけで、「水耕栽培」の代表といってもよいでしょう。
ハイテク水耕栽培
農業従事者の高齢化、耕作放棄地の増加など、日本の農業を廻る問題は深刻です。
こうしたなか、工場での野菜生産により日本の農業の改革をめざす起業家が現われ、増えていますが、彼らが採用しているのが、ハイテク技術を利用した水耕栽培です。
土を使わず、LEDライトなどを使った水耕栽培で、水菜、菊菜、レタスなど、8種類の葉菜類を育てています。
工場内は、ほぼ無菌状態のクリーンルームで、栽培に農薬を一切使わないため、安心安全の野菜ができます。
また、天候に左右されないため計画生産ができるほか、棚を使った栽培なので、畑に比べ面積当たりの生産量も大きくなります。
こうした新しい栽培では従来の「農業」にはなかった観点からの技術が利用され、徐々に拡大しています。
こうした企業の中には自社工場で栽培した野菜を使った飲食店を経営し、自社の水耕野菜を売り物に食事を提供し、「小松菜のプリン」など、ユニークなメニューも開発しているところもあります。
イグサなど日本の伝統的な栽培品についてもあらたに水耕栽培の技術が利用されるようになってきました。
「水」を利用することはまさに生活そのものといえましょう。
川の水でものをすすぐ、なんてことは少し前まではごく当たりまえのことでしたが、それが名所になるなんて少し哀しい気がしませんか?