注射器(2)

みなさんこんにちは

特殊水処理機『新ん泉』の櫻井です。

前回は注射の歴史と痛みについてまとめましたが、注射に関する研究は日々進められています。

今回は注射にまつわるさまざまな変化について考えてみましょう。

現代の注射

現代の注射針は使い捨てになっていますが、昔は注射針を再利用することが当たり前でした。

かなり古い話では注射針を研ぐことが病院の日常業務でした。

日本では、戦後から昭和63年頃まで行われた幼児期の集団予防接種における注射器の使い回しにより、B型肝炎ウイルスが蔓延したというのは有名な話です。

ちなみに、国は昭和23年には注射器の連続使用による危険性を認識していたにも関わらず、その後40年にわたり使い回しを放任していたようです。

現在推定150万人いる感染者の内、集団予防接種による感染者が30%前後いると言われています。

また使い回しのデメリットは感染症だけではありません。

針は使用するたびに劣化していきます。

すると切れ味が悪くなるので、使い回すほどに刺す時の痛みが増してしまうのです。

現代の注射針は先端の角度に段階を設けることで痛みが低減するような構造になっていますが、使い回しの場合、その構造も無意味になってしまいます。

環境に配慮して針の再利用を行うためにはこれらの問題を解決しつつ、安価に行う必要がありますが、現状は使い捨てのほうがはるかに低コストで効率的なのです。

最新の注射

人には感覚を司る多様なセンサーが「感覚点」として全身の皮膚や粘膜などに点在しています。

感覚点はそれぞれの感覚受容体が平等に分布するのではなく、1㎠につき痛点が100〜200、触点(圧点) 25、冷点6〜23、温点0〜3程度点在しています。

このことから分かるとおり、人は痛みに対して非常に敏感にできています。

だからこそ注射針のような細いもので刺されても、痛点が刺激されると痛みを感じるわけです。

逆に言えば注射針が細ければ細いほど痛点を刺激されることなく注射が行えるので痛みを感じなくなります。

現在市場に出回っている中で最も細い注射針は先端が僅かに0.18㎜という針があります。

これは糖尿病患者が毎日刺すインスリン用の注射針として開発されました。

インフルエンザで用いられる皮下注射針が0.63㎜、鍼灸治療に使用する針の一番細いものに0.10㎜のモノがありますが、通常は0.14㎜までしか使わないそうです。

最新の注射針が驚くべき細さであることがわかりますね。

未来の注射

未来の注射技術としては「蚊の口注射」と「針無し注射」が有望視されています。

まず「蚊の口注射」は人が蚊にさされても気づくことができないことに注目したものです。

蚊の口は直径わずか0.02㎜という細さでありながら血液を吸うための精密なしくみの針を持ちます。

蚊の口の構造は、皮膚を切り裂くための針が2本、血が固まらないように唾液(かゆみの原因)を注入するための針1本、血を吸うための針1本と吸った血が針から漏れないようにするための針2本の計6本の針とサヤからできています。

細くて柔らかい針でも注射ができることは非常に魅力的です。

次に「針無し注射」は液体などを高圧で発射し、皮膚を貫いて筋肉に薬剤を投与するものなどが開発されてきました。

小さなピストルで穴をあけることをイメージするとわかりやすいかもしれません。

最新のものでは高速で発射された

①気泡がはじける力を利用して皮膚に微細な穴をあけ、

②その穴から試薬をまとった微細な気泡を注入するという方法が注目されました。

これはもともと細胞の分野で開発された液中でしか使えなかったものを空気中でも使えるように改良したものです。

この方法であれば穴の直径はたったの0.004㎜ほどです。

細胞へのダメージも少なく、痛みも感じずに済むのが魅力です。

しかし、現状はコストの問題から一般的に使われる機会はまずありません。

将来、注射を打たれる時に、チクリっともしない注射が生まれると良いですね。

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